花押について

花押について簡単に説明します。花押とは何でしょうか。

例えば有名人のサインのように思っていただけるといいのではないでしょうか。自分の名前を唯一の形に変換したものです。また私たちも署名する際に早く書くため省略した書体になりますが、それこそが花押の始まりだと思います。

歴史的に花押の起源は中国ですが、日本では平安時代の古文書に見られるのが最古だといわれています。

なぜ花押が江戸時代終わりまで約1000年にわたり発展したかというと、まずは独自の署名により本人であることを立証することが求められたからです。その中で花押という署名が生まれてきました。しかしながら花押文書の発給対象や発給量が拡大してくると、やがて(その花押が誰のものかを知らなければ)花押のみでは本人を特定できなくなり、名前が併記されるようになりました。最初は当然名前、花押ともに本人が書いていましたが、武家社会になると右筆が名前を、本人は花押のみを書くことが多くなり、その形式がやがて定着していきました。

さらに江戸時代には花押自体も直筆ではなく花押形を彫った印章が代用されることが多く見られるようになっていきました。

豊臣秀吉や徳川将軍の発給文書では花押の方が朱印や黒印といった印章よりも礼が重く、厳密な礼式に則り用いられましたが、江戸から明治に時代が遷ると、明治6年の太政官布告によって花押の実質上の使用が制限され、印章の方が花押より有効になりました。

しかし、現在でも茶道の家元であったり、政治家が花押を自署の代わりとして使用しております。

 

 (明治675日太政官布告239号、明治10年に廃止)

「人民相互ノ諸証書面ニ爪印或ハ花押等ヲ相用ヒ候者間々有之候処当明治六年十月一日以後ノ証書ニハ必ス実印ヲ用ユ可シ若シ実印無之証書ハ裁判上証拠ニ不相立候条此旨可相心得事(後略)


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